マズカバンジー!(マラウイの共通語チェワ語で"How are you?")
物乞いもストリートチルドレンもほかの途上国に比べて少なく、一見平和そうなマラウイの毎日。
そんな生活のすぐ隣にエイズが隠れていました。
上司: 「さちこ!ちょっと来て!真剣な話があるんだ。」
わたし: (何かやばい事したかな?遅刻したっけ?)
パソコンを閉じて、正面を向なおしました。
上司「・・そんな構えなくていいよw」
結構女性がトラブルを起こしていて・・。
前回、インターンで1年来たマリア(仮)は最初はおとなしい子だったんだけど、
とても友人関係が広くてね。
・・・男性関係もね!」
私「その子が何かなにかしたの?」
上司「交友関係が広いのはよかったんだけど、その子が色々な男性と仲良くてね。
ある日、職場で働いていると、知らない女の人がいきなり刃物をもって現れて!
マリアを狙って、殺そうとしたんだ!必死に止めるのが大変だったよ~(笑)
私「(絶句)・・・・?!?!?!?!??!?」
突然のドラマのような話に、混乱するしかない私。笑って話す上司。
どうやら、マラウイでは現実でも火曜サスペンスのような展開が起きるようです。
私「その子は大丈夫だったの?」
上司「女のひとは抑え込んだから大丈夫。でも、その子はインターンを打ち切って大学に帰ってもらったよ。
・・その子みたいに色々な人と仲良くして関係を持ってたら、色々危ないんだ。
エイズになってしまう可能性もあるよ。」
女の子の話からエイズの話になりました。どうやら言いたかったのはこっちの話題のよう。
上司:「コタコタはHIV保有者が特に多い地域なんだ。
きれいな湖があって、それが行為を促進させてるんだろうね。
優秀な仲間のオフィサーが、いっぱいHIVが理由で亡くなってるんだよ。」
上司:「実は、このコミュニティ開発の部署でも今療養中の同僚もいるんだよ。」
状況はあまりよくなく、故郷に帰っているのだとか。
私が配属されてから1か月。その人に会ったことはまだありません。。
上司:「マラウイは平均寿命がとても低いんだ。
長生きする人はちゃんと長生きするんだけど、エイズのせいで早死にする人が多いから低くなってるんだ。
平均寿命が長い日本が羨ましいよ。」
そして、寂しそうな表情をする上司。。
マラウイの平均寿命は55.23歳、日本の平均寿命は83.33歳(2013年度、世界開発指標)
この平均寿命の差の原因の一つは、エイズの問題が隠れているそうです。。
マラウイのエイズ問題
HID感染者の数は1,100,000人。15歳以上の大人で、10人に1人が感染者。(2014年、UNAIDS)
道行くひとの10人に1人がエイズという国。こう考えると、かなり高い数字です。
以下の図の赤色の地域がより多い地域。やはり都市部に感染者は多いです。
(Malawi AIDS Response Progress Report 2015 2016.4.25)
□エイズって?
そもそもエイズとは?
エイズの正式名称はAIDS:Acquired Immuno-Deficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群)。
エイズはHIV感染した結果、起こる病気。
免疫に大切なこれらの細胞が体の中から徐々に減っていき、普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症します。
この状態を「エイズ」と言います。
※HIVはHuman Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)が、ヒトの体をさまざまな細菌、カビやウイルスなどの病原体から守る(このことを"免疫"といいます)のに大変重要な細胞である、Tリンパ球やマクロファージ(CD4陽性細胞)などに感染するウイルスのこと。
HIVはどうやったらうつるのか?
ご存知の方もおいかもしれませんが、エイズは手をつないだり一緒に過ごしただけではうつりません。
HIV感染を防ぐには血液、精液、膣分泌液などに多く分泌されるので、それらの体液が粘膜や傷のついた皮膚に触れないようにすることが必要。
輸血や針刺し事故も危ないのですが、
一番多い感染経路は性行為。次に多いのが母子感染。
そのため、性行為の場合は、必ずコンドームを使用すること、また、相手に使用してもらうことがとても重要です。
詳しくはこちら!HIV相談検査マップ (2016.4.25)
HIV・エイズについてとても分かりやすく書いてあります。
□まんえいの原因は何か・・・
突然命を奪うエイズ。
長年援助もされ、マラウイでもずっと対策は行われてきました。
それにもかかわらず、なんでエイズは止まらないのか。
マラウイで過ごすからこそ、見えてきた深い原因がありました・・。
①宗教的・文化的な理由

マラウイは約75%の国民がキリスト教の国。
キリスト教の影響で、「避妊=してはいけないこと」という考えが基本的にあります。
そのため、
キリスト教系が支援するクリニックの近くで、コンドームを見つけるのが難しかったり、
他の人に店でコンドームを買うのを見られるのを恐れて買えなかったり、
コンドームを手に入れるのが難しいという環境があります。
また、日本では一般的に使われているコンドームですが、
マラウイでは「コンドーム=浮気人」と考える人が多いんです!
・コンドームを使わない→安心してるから→最愛の一人だけを愛する人
・コンドームを使う→複数人と行為をしている。やましいことがある。→浮気人
慣習的に、子供をいつ作るかなど家族計画を考える人が少ないマラウイでは、避妊のためにコンドームを使おうという発想がありません。。
そのため、「コンドーム=浮気」となってしまうんです。
カップルがコンドームを使ってとお願いすると、浮気しているのではないかと疑っているように見える・・。
そんな宗教的・文化的な理由から、コンドームを使いたくても使えない、また使いたいと思わない環境があります。
考え方に関わる問題なので、コンドームをたくさん配ってもなかなか解決することは難しいです。。
②いっぱいいるという安心感
エイズ感染者は国民の10人に1人いるマラウイ。
「そんな大勢いるなかで、彼女彼氏ができたときに怖くないの?」、とマラウイ人に質問したことがあります。
そんなとき帰ってきた返事は「別に怖くないよ。周りにもエイズの人はいっぱいいるし。薬を飲めば、エイズになっても大丈夫らしいし!」
日本の風邪のように、発症が日常的になるほど病気の怖さが薄れていくのかもしれません。
まわりの知り合いがエイズだと、エイズが周りに存在することが当たり前になり、その怖さが薄らいでいきます。
そのため、エイズ検査をしたり、コンドームを使ったりしてHIVを防ごうという気持ちが弱くなっています。
③治療薬が安いからこそ
マラウイの大きな問題であるエイズに対し、多くの援助や支援が入っています。
エイズだけどお金がないから治療できないという事態をなくすため、
エイズへの薬は基本的に無料か低料金。
定期的に病院に通えば、経済的な負担もなく、エイズでも普通に過ごすことができます。
すべての人にちゃんと治療が行き届くことはとても重要なのですが、
この「経済的な負担があまりない!」ということが逆にエイズを萬栄させるきっかけにもなっています。
「エイズになっちゃっても、無料で病院に通えるし大変じゃないや。」
「ちゃんと病院さえいってれば、エイズも怖くないでしょ?」
という安易な考えが広まっているように思います。
支援が行き届いているからこそのデメリット。
とても悲しいことですが、援助の負の面で援助がある限りこの考えはなくならないような気がします。
以上が、マラウイにいて感じたエイズ萬栄の原因3つ。
原因はもっとあって複雑に入り組んでいて、なかなか解決するのが難しいことが生活をしていて感じました。。
・・ただ、エイズのことを話しているときの上司の悲しそうな顔が忘れらせません。
プライバシーの問題でまわりの友人がHIV保有者かどうかは、普段の生活ではわかりません。
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